おれも秘境駅に行ってみたい
この年になるまで「鉄道」やってない私ですが、それもたぶん、高校に入る頃まで阪急宝塚線(←ちょっと変わってます)しか知らなかったという事情ゆえ。ポテンシャルは十二分にあるんじゃないかという、確信に似たものを感じております。地方に旅行に行くとなんにもないホームで普通に写真撮影したりするし、今でも帰省するとわざわざ湖西線で湖北まで行ったりするし(笑)。で、なぜか周囲には鉄道系の友人が何人かいるのですが、話をしているとみんなヤケに面白いんですよね。で、そんなうちの1人に「なんか鉄道もので、ビギナーが読んでも楽しめる本ない?」といったら出てきたのがこれ、小学館文庫の「秘境駅へ行こう!」(牛山隆信さん:著)です。
借りた帰りの地下鉄で早速読み始めてみたら……あまりの面白さにビックリ。そして、マネしてみたくなってしまいました。バックパックにシュラフ積んで。駅に泊まってカロリーメイト食って。
そのタイトル通り、日本全国の秘境駅を訪ね歩いた記録です。私も最初はナンノコッチャよくわからなかったのですが「その駅に行くこと自体が容易ではない駅」ってのがあるんですな。「そんなの、駅なんだから電車で行けばいいじゃん」って思うでしょ。ところがそんなもんじゃないんですよね。凄すぎます。
また、読んでいると、北海道は秘境駅の宝庫だということがわかるわけですが、特に凄かったのが函館本線張碓(はりうす)駅への訪問記。ま、細かいことは本をご覧いただきたいのですが、こういった地域の駅には「時刻表には載っているのに列車が停車しない駅」ってのがあるわけです。そこで、牛山さんは陸路、駅へのアプローチを試みるのですが、1回目は深い雪と急傾斜の地形に阻まれ、死をリアルに感じるほどの状況に追い込まれて断念。その2ヶ月後の再挑戦では、アイゼン装着の上、またしても死を覚悟しながら遂に駅への到達を果たすわけですが、このくだりはマジで感動的(笑)。本には「第1回踏破ルート」「第2回踏破ルート」の図まで掲載されてます。そのほか、断崖の途中に張りいてるようなすんごい駅とか、黄昏感たっぷりのスイッチバック駅、駅での宿泊生活、無人地帯の駅に始発から乗り込むときの、乗客の奇異の視線などなど、鉄道の本というカテゴリを超えて1つの旅行記、アクティブな冒険記として普遍的な面白さがあるのが素晴らしいのです。
岩手県の押角駅を訪れたときの回。タイフォン(←覚えちゃった)とともに電車が去って行き、山奥の駅のホームに深夜ひとり取り残される描写があります。このワクワクするような孤独感、ゾクゾクするほどよくわかるなぁ〜。寂しいんだけどすごく自由と開放感を感じるあの気分。これにピンと来るアナタ、ぜひ読んでみてください。
@ふなふな
ちなみに、本の元になった牛山さんのウェブサイトはこちらでございます。
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コメント
>知らない間に連れて行かれていたというくだり
夫婦で大笑いヽ(´ー`)ノうははは
でもこれ、マジで面白い。編集の人が優秀なのかもしれないが
文章も秀逸。もちろん続編もゲットです。
投稿: ふなふな@ヒビコレ | 2005/11/24 19:13
帰宅した旦那さんに確認しましたら、ウチにもこの本がありましたよ…。
リンク先の牛山さんページを拝見しますと、知らないうちに旦那さんに
連れて行かれた所がいくつか(秘境駅ランク22位・駅前にあった牛小屋しか覚えてない…)夏でしたから、雪は降ってませんでしたけどね。
都会の駅しか知らなかったので、初めて行った時は、どうして勝手にホームや線路上に入っていいの???とか不思議がいっぱいでした。
ぽつーん とホーム(とは思えないところ)に立ってると、ほんとに列車が来るのか不安になります(笑)
投稿: sasaberry | 2005/11/23 21:40