解像度の高さが魅力、オーディオテクニカATH-CK9
1年近く使ったので、レポートを書ける状態になったかな・・・・・・と、Audio-Technica ATH-CK9を紹介してみます。
ずっとダイナミック型のカナルタイプ(SHURE E2c、Audio-Technica ATH-CK32、CK5など)を使っていたのですが、キャラクターが異なるのを試してみたくて“次に買うならバランスト・アーマチュア型ドライバの製品を・・・・・・”と思っていました。ダイナミック型の代表モデルとして一時代を築いたE2cを愛用していたこともあり、最初はそのまま同社のE3cへ移行することを考えていたのですが、「まぁせっかく安くない買い物なんだから、ここはいっちょ真逆のキャラクターを」ということで“繊細な音”と評判のCK-9にしてみたわけです。
音質ですが、まさに評判通り。非常にフラットワイドレンジなのと、弱音の再現力が優れていて、空気感(リバーブ感)とか音色の微妙な違いが、今まで使ってきたどのインナーイヤーヘッドフォンよりもはっきりと再現されます。クラシック系のソースも違和感ありませんし(ピアノの右手もOK)、ギターのピッキングのニュアンス、女性ボーカルの声などでも威力は抜群。リファレンスにしている女性ボーカルものを何枚かを聴いてみたところ、細かなリップノイズ、口の開け具合とか「L」を発音するときの舌の触れ具合まで手に取るようにわかって気持ち悪いくらい。再生機器固有のノイズも思いっきり表現してくれるので、S/Nの悪い製品がいっぱつでわかります。
一方、これも評判通りなんですが、ローの図太さはないんですよね。といっても、低域が全然ないわけではなく(たぶん)、EQで補正すればそこそこ出てくるので、無理なローブーストをしている製品よりもずっと好き。もちろん、限界はありまして、たとえば生系のジャズだとアップライトベースのボディの深みとか、ロックではジョン・ボーナムのキックなんてのはイマイチ。フレーズはちゃんと聞こえるんですが、風圧は感じないんですよね。ヒップホップももちろんダメ。ま、このヘッドフォンを使うときはハナっからそういうソースを聴かないのがスジって感じです。風圧が感じたいときはやっぱりスピーカーですわな。Steely Danとかにはもちろんバッチリでございますよ。
装着感も良好です。軽量ですし、ケーブルを耳の後ろから回しても、普通のインナーイヤーみたいにぶら下げてもOKなのは思いのほか便利(もちろん、タッチノイズは前者の方が少なくなります)。安っぽいという意見もありますが、この手のドライバはボディの剛性があんまり関係ないんじゃないかと思いますので、軽いに超したことはナシ。作りは決して悪くありません。
さてこのCK9、定価はAudio-Technicaさんとは思えない驚愕の2万円オーバーですが、Amazon.comなどでも結構値引きされているので結果的にお買い得になっていると思います。できるだけいい音が欲しいけど大きなヘッドフォンは使いたくない、生音系のソースを中心に聴いて、過剰な低域はいらないから細かいニュアンスが出るものが欲しい、色づけの少ないタイプが好き、そしてイヤフォンに1万円半ばくらいまでなら出してもいい・・・・・・という人にはかなりおすすめの商品、って感じでしょうか。クラシック好きの人にもいいんじゃないかなぁー。
@ぷなぷな
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